SF作家たちとT.I.M.E STORIES(タイムストーリーズ)をプレイしました。
T.I.M.E STORIES(タイムストーリーズ)というゲームの感想です。
T.I.M.E STORIES(タイムストーリーズ)というのは、元々はフランスで作られたボードゲームです。タイムトラベル(パトロール?)をしながらプレイヤー全員で協力し、ゲーム内の謎を解いてクリアするという、それなりの謎解き要素とバトル要素のあるドラマティカル協力ゲーム、といった感じでしょうか。
ゲームの性質から言語依存は絶対なので、英語の理解力がたぶんちょっと訓練を受けたチンパンジーに(どころか場合によってはタコにさえ)も劣る高山は日本語版リリースまで発売延期を覚悟の上でのんびり待っていたらまさかの期間短縮(?)前倒しでの発売。そんなことあるんですね(と思ったらどうやら一度発売延期になってから、それが緩和された、という前倒しだったようですが、それでもすごい)。
早速基本セット(シナリオは『療養所にて』)を購入し、ボードゲームに興味のある仲間のSF作家さんたちに声掛けてプレイをしてみました。さほどややこしいタームはなく、ネタバレ厳禁の要素が多いのであまり細かい部分に言及はしませんが、それでもちょっとまごつく部分がありましたので、それも含めて感想を記します。もし本当に純粋な初見プレイを求めるなら、下記は遠い目で眺めてください。
まずはパッケージング。これは本当にカッコいい。制作側の都合としては日本語版なのかそうでないのかを判別しやすく作りたかったでしょうに、この原版に忠実なデザインは英断と言っていいんではないでしょうか(いや、「なんちゃらを開拓するロマン!」とか極太ゴシックで書かれているあれも、それはそれでグッとくるんですけれども)。上から見ても横から見ても、「日本語版」の文字がどんな小さな級数のものさえ見当たりません。(裏はさすがに日本語で表記されています。購入の際は裏返してくだされば確実です。ネット購入の際は商品情報でご確認ください)
これによって、お部屋にむき出しで置かれても、ちょっと分厚い、映画サントラかなんかのレコードの記念盤ボックスかな(それにしてもでかいか)という感じです。印刷も、白い部分は艶消し、マシンのイラストとタイトル部分はPPコート、さらにマシン内のロゴの部分はPP抜きで表現されているという芸の細かさ。
さらに箱を開けておもしろいのは、駒やカードをしまう部分が、入れる場所によって進行度合いを表わせる。つまり、セーブ機能になっているんです。時間はたっぷりあったので最後まで一回でやってしまったんですが、少しずつ遊びたい人にはこれは面白い機能です。パンデミックレガシーなんかは写真撮ったりして保存しますけど、それでもこれなんだったっけ? なんて良くありますから。
中にはシンプルなボードといくつかのチップ、ダイス、駒(これはひょっとしたらボード上のゲージに矢印マーカーとかもっとシンプルにできたのでは? と思うのですが、今後のシナリオ拡張の都合かもしれません)と、これも感心したのですが、
シナリオのカードの束。アイテムもキャラクターも、ロケーションも、すべて同じ規格のこのカードの束の中に収まっているんです。それによってアイテムカードがそのまま他の何かになったりします。そしてたぶん、追加で発売されている他のシナリオもこの束のような形式で、今後いくつでもシナリオが発売できるんでしょう。
物語は、T.I.M.E(大規模事象タキオン介入)(←かっこいい)のエージェントであるプレイヤーが集まる基地から始まり、その基地カードにボスからの指令が書かれています。移動した時代の、移動した場所で、指令を限られた時間マーカー(TU)の間にクリアすることがプレーヤーの目的なんですが、時間を移動することができるのは「精神」の部分だけで、「肉体」はその時代にある「器」と呼ばれるキャラクターを使うことになります。キャラクターにはそれぞれ特色があるので、まあいわゆる脳筋とかお色気(?交渉上手)とかそういうパラメーターのバランスを考えながらパーティを組みます。
移動した先のロケーションもシナリオカードになっています。裏を見ることができるのはその場所に行った(最初の移動はTUを使いませんが、その後の行動でTUや他のパラメータが必要になります)キャラクターだけなので、その中に重要な情報がありそうであれば時には移動してきてもらって共有し、ブラフやミスリードに迷い、暗号の片割れをお互いが知っている状態で伝え合うというようなことが限られたTUの中で必要になっていきます。
バトルもあります、これは少し(というか、このゲームで唯一といってもいいのでは)煩雑な感じがしますが、それでもTRPGやそれに近いボードゲームに慣れた方なら全く問題ない程度だと思います。
ストーリー自体についてはもうこれ以上言いませんが、フレーバーはシリーズものの海外ドラマのようですし、システムは慣れてしまえばシンプルです。ゲームブックやTRPGを、協力しつつGMの要素をシステムが肩代わりしてくれるような感じでクリアすると言ったら解りやすいでしょうか。
ただ問題はむしろプレイヤーサイドであるこちら側で、ゲーム好きと自称している割に私も他の作家さんも、まー協力プレイがなんというか、たぶん向いてないんですね。ついこないだやっと何度も挑戦していたザ・ゲームがクリアできたレベルです。
今後は折角タイムトラベルストーリーなので戻った時になにかの要素を置くことで分岐が変わるようなクロノトリガーシステムとか、ラストがたくさんあってそのラストが出たら次のラストが解放されるかまいたち形式みたいなのがあっても面白いかなと思いました。
しかしこれ、カードの大きささえ合わせれば同人でシナリオ作れそうですけど、その辺オープンソース化してくれないかな。
もしくは「たまたまこの大きさのカード作ったら、これでも遊べちゃいました」みたいにごり押すとか? とかなんとか思ったりして。
デザイン:Manuel Rozoy 人数:2-4人(4人以外のキャラクター決めはちょっと変則的です。ルルブ参照ください) 対象年齢:12歳以上 時間:約90分(これは1プレイ、という意味だと思います。さすがに完全クリアはこれでは無理) 取扱:ホビージャパン 2017年3月発売