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ご報告。はるこんに行ってきました。

はるこんというSFイベントに行ってきました。

会場は数年前のはるこんの会場になっていた横浜開港記念会館。会場自体が文化財なので吊り照明やステンドグラスもあり、ハマスタのすぐ近くで徒歩圏内に山下公園も氷川丸も中華街も元町もある、観光立地的にも最強な所です。お昼も、中華やら喫茶店やら困ることがない。

オープニングでGOH(ゲスト・オブ・オナー、要はイベントのメインゲストです。はるこんでは毎回、海外からと国内からそれぞれゲストを迎えています)のケン・リュウ氏と速水螺旋人氏が登場、それぞれのお言葉と、この二日間の会場でのお約束や諸々がアナウンスされます。

このイベント、国際的なものなので、逐次英語日本語の通訳が入るのですが、そのたびに思うのが、GOHのお話はともかくお約束的なものは同時通訳にする必要がないのでは、と思う部分が結構多くて(何より通訳の方がほぼ一人で回されているので、どう考えても負担が多すぎるというかなんというか)、なんかこう、お約束は前もって英語も作っておけばと思うことも無きにしも非ずなんですが、とにかくオープニング後はGOHの質問タイムになります。

ケン・リュウさんは「紙の動物園」でネビュラ賞、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞短編部門を受賞して史上初の三冠達成された凄い作家さんです。若いということやクレバーな(博士号を取得した弁護士さんでもありました)ことも関係あるのかどうか、とにかくすごく穏やかなもの言いをされる人だなあというのが印象。短編「紙の動物園」で、折り紙をテーマにしたのは数学的な興味からというお話とか、何より印象深かったのが、中国における出版時、どこかのタイミングで若干違う表記になっている?(変えさせられているのでは? というニュアンス)、と質問された時の「国が変わるのは、少しずつ、急ぐ必要はなくて、少しずつで良いです」(もっと違う言いかただったかも、すみません)という答えが、なんというか彼のスタンスを良く表している、と思いました。

速水螺旋人さんは、漫画を読まない高山の中では「クレムリン(というボードゲーム)の絵の人」という印象なのですが、マンガでも旧ロシアや東欧などのエリアの文化にとても拘りが深く、最近スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチを読んだり、PS4のゲーム「トゥモローチルドレン」を少しプレイした(世知辛すぎてあまり進めないでいる)身としては(そのカッコよさ、解るぞ!)と心の中で強く相槌を打っていました。質問の中で、そのマシンが実際その速さで動くか、描かれている威力の武器を発射できるかどうか、という所にはじつはそう重きを置いていなくて、極端な話不思議な力が作用しているとかでも良い、と言いつつも、マシンが面白いのは、その国で長く人に使われることで、一定の部分を便利にするため何かを外して挿げ替えたりの妙なカスタマイズや、一か所だけがすり減ったり錆びたりといった、使われた国や人のストーリーが出るような所だ、というお話もされていました。

高山は一日につきひとつの企画に出ることになっていました。

土曜日は「サブカルクソSFの部屋」(クソ、を入れるのは倉田さんと悩み、最終的にこっそりと入れました。サブカルクソ、はもはやひとつの接頭語なので)私も倉田さんも、たぶんアニメやゲームなどのではない、少し前のサブカルから引っ張ってきた(オタクサブカル論争、というワードはほぼ出さずに)お芝居とか、ギャラリーの作品とか、カルチャー雑誌とか、そういったものをずらずらと引きずり出しては「昔、わしらはこういうものをサイバーで恰好良いと思っておったんじゃよ」みたいに話しておりました。倉田さんがレーモン・ルーセルの「ロクスソルス」やペヨトル工房三上晴子とか、私はお芝居の話などの話をしたと思います。

あ、そうそう、そこで紹介したクリハラタカシさんという漫画家さん、SFのファンダムでもっと注目されてもいいと思うんですよ! 「冬のUFO・夏の怪獣」もとてもいい。ロボットとかが好きな人も、ノスタルジーが好きな人も、シャンバラが好きな人(なんだそりゃ)も絶対お勧めです。

全体的にはオールナイトニッポンに第五部とかあったらそのぐらいの時間でこのくらいの熱量で行われるかなっていうトークだったと思います。タカシと羽根子のオールナイトニッポン第五部。

 言ってることが若干ジャムってうまく伝わらなかったところを補足すると、そもそもサブカルはアメリカでは社会学でもありつつ文学サイドの文脈でも使われてたんで(ビートぜねれーしょんあたりとか)テクストにこそサブカルが埋まっているんだぞ!(っていうかもはや小説よりもアニメとかのほうがメインカルチャーでは)みたいなこととかでしょうか。

日曜日の企画は「フィンランドのワールドコン対策会議」です。フィンランドがどんな国か、作家としてどんなことをアピールしたらよいのかということを初心者目線で教わろうという企画でした。 「フィンランドは乳製品がうまい」「コーヒーがうまい」

「ニシン的なものの酢漬け」「しゃけ」 「イベントにお金を払うという文化があまりない(公のものはほとんど無料)」 「アジアの女子供がSFを書くと怒る人々がいるらしいが、詳しくは解らないので空想上の存在だと思うことにしておく」 「おたくはほぼ世界共通の姿をしている」 「日本語を使おうとして話しかけてくるめんどい人がいる。ぼんやりしてるとつかまる」 「夜明るい」「パーティー」「外国人みんなウェイウェイしてる」 「海賊朗読の部屋に海賊がいたが、ただの関係ないおっさんだった」 みたいなことをメモして帰ってきました。 この企画のアンサーとしては、結果ご報告という形でこのブログにワールドコンレポートを書きます。

一日目のお昼は、大学院という名前の、ちょっと古くて面白い内装(といっても、きっと関西や他の場所にはもっとえげつない場所があるとは思うんですが)の喫茶店で、大森さんや編集さん、短編賞や諸々でお世話になってる作家さんたちとランチカレーを食べました。

2日目は、本当はJICAにある食堂で景色を楽しみながらいろんな国のご飯を食べよう、と行ってみたら見事にビルメンテナンス的な何かで休んでおり、ふと入った黒カレー屋さんがとてもおいしかった。結局二日ともカレー。

で、夜ご飯は両日とも中華(だったと思います。二日目、ちょっとくたびれたので先に家に帰ってしまいました。すみません)

あと、サイン会には、丁度私がコマの合間に行けそうな時伺うと席が埋まっていたりして参加できませんでした。まあ、うろうろしているときに呼び止められるということもなかったしそれで問題なかったのではないかと。

その時に、ケン・リュウさんにサインを頂きつつ、以前高山が少しだけ参加したケン・リュウさんのトリビュート同人誌を(当然ながらオール日本語)お渡ししたところ「オー! アメイジング」を連発されて喜んでいただけたのでなんだかかえって恐縮してしまったり。

そして日曜日のコマ、飛び入りみたいな形で新作PRの部屋に参加させていただきました。ほぼ皆さんのお話をニコニコして聞くだけの簡単なお仕事ではありましたが、草野さんの新しいアイデアも結構面白いと思ったな。私は昨年の同じ企画で「犬が逃げて、奥さんが光る話を書きます」って言って皆を困惑させた気がしましたが一応その話は書いたので、今年話した「映画で戦争する話」はきちんと今年中に形にしようと心に誓いました。

また、追加で思い出した事などあったら記入していきますが、取り急ぎ。

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