GENESISが紙魚の手帖にお引越し
去年までジェネシスというかたちで刊行していたSFアンソロジーが、紙魚の手帖の特集としてお引越しです
今までの形の(本として刊行してたやつ)とちがうところを、買う側と書く側で分けて考えます。
買うほう、これは価格が抑えめになっているというのがメリットで、デメリットは、書店さんにある期間が限られる(まあ、本でもそれはあるんですが)とか雑誌の形なのでほかの記事などもある、とか?
書く側として一番大きいのは、印税のページ割か原稿料か、ということだと思います。
ただ、私個人的には実際のところ、その違いがはっきりとメリットかデメリットかとはわかりません。あったとしても、結構微々たるものなんじゃないかなあ。
2-30枚、せいぜい50枚くらいの(あ、こういう雑誌で原稿料というのは400字詰め原稿用紙換算で計算されることがほとんどだと思います)、原稿料とページ印税で考えると、それでもたぶん原稿料のほうがぜんぜん良いとは思うんですけど、それでも何十倍も高くなるかっていうと、どうだろう?
例えば重版になったら、とか、文芸誌は(今後変わっていくとは思いますが)電子では出さなかったり、その辺の細かなメリットを考えるとそこまでどっちがすごいメリット、とは言いきれないんではないかと思っています。
ただ、これだけははっきりしていて、
「”こういう場”が残っているということのメリット
というのは、書き手にとってはめちゃめちゃ大きい」
ということです。
短編賞というのは、名前の通り短編で賞をいただいて雑誌などに掲載してお金をもらいます。これは他の中長編の賞と違って「一冊になるまですごく時間がかかる」というデメリットがあります。
高山の場合、東京創元社さんのアンソロジー、NOVA、各アンソロジー、ほか文芸誌さんの短編特集とか各電子書籍でジンを出している独立系版元さん(ほかの短編賞作家さんだと、異形コレクション、SFマガジンいろいろ)。
そういった場でこまごま書かせていただけたことで、何年もかかってはしまったけれど一冊にすることはできたわけです。
書き下ろしではだめなのか、と言われると全然だめではないんですが、書き下ろしの原稿だと本になるまでお金が入ってこないんで、新人さんには息切れしちゃうと思うんですよ。締め切りのきられてない中で担当さんとのやり取りも自分で全部ハンドリングできますっていう新人さんって少ないでしょうし。
その”場”があるということが、なによりもメリットだと思います。それが雑誌かハードカバーか、文庫か、電子かというのは本当に些細なことだと、今のところは思っています。すくなくとも、新人さんにとってはこの場が残るということがすごく大事だと思います。
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