top of page
White Structure

中国へ行きました

いまだにステイホーム的な心構えで暮らしているため、なかなかに悩んだりもしましたが(いや、そうでもなったかも)中国の浙江省の紹興市、そして四川省の成都市にお伺いしました。





というのもほんとうにたまたま、紹興のイベント(というか作家交流会?)のご招待は10/13-16、成都のSFイベントのご招待は10/18-22だったので、紹興-成都の便さえ自分でなんとかすれば行ける、と踏んだわけです。


実際のところはビザの関係で想像よりは複雑な手続きが必要でしたし、結局、延泊も紹興-成都の便もそれぞれのご招待の委員会さんになんとかしていただけちゃったのですが(紹興の方は一日延泊したけど片道分がなくなり、成都へも国内便になったので日本からの招待よりはどちらも負担が軽かったろう、という都合の良い理屈)



浙江省の紹興というのはかなり文化都市的な場所で(魯迅の出身地でもある)、川がたくさん走る古い町並みがあちこちに残っていたり、一方で最寄りの都市、杭州ではつい最近までアジア大会が行われていたこともあり、新しいビルドがガンガン景色を変えている場所もありました。


伺ったのは外国語大学で、中国と日本、さまざまな作家さんと交流をするというものでした。



紹興から飛行機で3時間、成都で行われたのはワールドコンというアメリカが発祥のSFファンイベントで、毎年世界の各都市で開催されるものです。毎年、次々回の開催国の誘致活動なんかが行われます(投票で開催地が決定するので)。





普通はワールドコンというものは作家だろうが編集者だろうが自分でお金を払って参加し、パネルにも出ます

(前にヘルシンキで参加したときには、クリエイターズアレイという場所でブースを借り、自作のPRをしました)

でも、今年は作家さんを招待する枠があったらしく、ありがたいことに編集者さん経由でお話をいただきました

それがワールドコン的にどうだったかという話も無くはないのですが

少なくともそのおかげというか、インド、アフリカ、アジア各国からも参加があり今までにないほどの国際的な大会になったということだそうです。もちろん我々にはありがたいことです。


個人的には、ンネディ・オコラフォーさんの活躍もあるし(彼女はアメリカ国籍を持ったアメリカの作家さんではありますが、アフリカにルーツがあるので)、初のアフリカ開催が近々あってもいいと思うんですよね。実際ディーラーズではウガンダの開催誘致ブースも見ましたし、パネルでもアフリカン・マジックリアリズムとアフロフューチャリズムについてのものはとても興味深かったですし。





紹興のイベントは多少クローズドなものではあったのでそこまで不自由さはなかったのですが、成都は数多くの国の人がゲストできていて、一般参加の人がパネルを聞きに来るためかいくつかの制限がありました。端的に言えば話の内容や振る舞いについていくつかのNG項目があったということです。


たとえば、今年すばるで重版までかかった特集なのに、中華BLについてはかなり厳し目に発言から遠ざけられていましたし、翻訳ができない言葉というのもいくつか、はっきりあったと思います(とはいえうっかりものである私のレベルでさえ大丈夫だったから、そこまでたくさんではなかったはず)。配布する印刷物も前もって審査が必要だったり(結局わたしはすでに中国語で販売している本しか置くことができなかった)、それ以外を配ってしまうと回収されたりというやりとりがあったり(特に日本語や英語のものが大変そうでした)、なかなかに大変なのだな(まあだからこそ自治体からお金が出てここまでの大きな大会にできたんですが)と思ったわけです。



ただ、NGワードに関しては正直統制がどうのというよりも、余計ないさかいの種にならないようにそれぞれの国を貶める言葉は使わないようにしようね、というニュアンスが強かったという気もし、実際そんな言葉、自作の解説に使わんよ、とも思ったり。まあでも作家によっては(SFというのは往々にして現状の社会問題のメタファー的な指摘を孕むので)大変だろうとも思うし、まあとは言え日本で好き放題話してそれをSNSに書かれたらそれだっていろいろ問題は起こるだろうしなあ。難しいところ。


ただ、なによりも楽しかったのは、日本でもこんな短期間にここまでたくさんの作家さんとお話ししたりご飯食べたりできないので、それがなんというか、作家&評論家&翻訳者&編集者の修学旅行みたいな感じで後々までずっとよかったなーって思っています。


だって、日本語が話せる中国の大学の先生と知らない町の食堂でご飯食べながらそれぞれの人生についておしゃべりしたり、朝の公園を作家と散歩して野良犬に追いかけられたり、屋台のおにーちゃんにナンパ?されかけている編集者(男性)を「まだ大丈夫、あの状態ならまだ国際交流、これ以上やばくなったら助けよう」とかたずをのんで見守ったり、夜三時くらいまでホテルのロビーでボードゲームなんて、普通しないでしょう? 







bottom of page